新規ビジネスに参入する際には、以下のことを考える起業家は多いでしょう。
- 新規ビジネスにかけられる予算と期間
- どの程度の売上規模のビジネスを作りたいのか
- 事業立ち上げに必要な人材は集まるのか
しかし、これらの項目ではビジネスの成功率に不確定要素が多く、そのビジネスモデルで参入するべきかどうかの明確な指標にはなりません。
当社のクライアントで「◯◯の新規ビジネスを作りたい」といった方には、まず以下の手順でドライテストとを行っております。
- 帝国データバンクで競合の売上を調査する
- (商品を作る前に)Google広告でどの程度の集客・受注できるかをドライテストしてみる
この記事で分かること
ビジネス参入前にGoogle広告を出稿し、商品・サービスを売ってみる
「新規ビジネスを作りたい」という方で、よく「どんな商品を作ればいいか分からない」という質問を最初にいただくことがあります。
これは「商品がなければ、商品は売れない」と思っているからです。
しかし、当社のお客様にはまず最初に「商品を作る前に、広告を出してください」と伝えています。
「え、商品がないのにどうやって売るんですか?」と言われるのですが、商品はなくても商品やサービスの販売ページは作ることができます。
それをGoogle広告に期間を限定して出稿し、アクセス数や広告費、成約率をチェックするのです。つまり「少額のドライテスト」を行います。
そのビジネスへ参入すべきか判断する手順
例えば、分かりやすい例として今回は「小学生向けの野球上達オンラインプログラム(DVD講座)」を「20000円」で販売する例を考えてみましょう。
なお、上記のドライテストの広告費予算を、例として「10000円」と設定します。(最低でも100アクセスが集まる広告予算を設定しましょう)
【ケース1】1クリック単価100円で3日で100アクセス集まった場合
販売ページを作成し、Google広告で広告を出してみると、1クリックあたり100円で3日で100アクセスが集まったとします。そして、広告経由の受注が2件ありました。
このケースでは、このビジネスモデルの売上想定はいくらになるでしょうか?
この時かかった費用は、「100アクセスで10000円」です。そして、20000円/個のプログラムが2件売れたとなると、40000円の売上になります。
この場合、3日で「30000円(40000円-10000円)」の利益が出たことになります。
月間の利益を想定すれば、「300,000円(30000円×10)」が月間の粗利予想になります。ここから諸経費を引いて、最終的な利益が残るかどうかを判断する必要があります。
【ケース2】1クリック単価300円で3日で100アクセス集まった場合
次に、 販売ページを作成し、Google広告で広告を出してみると、1クリックあたり3000円で3日で100アクセスが集まったとします。そして、広告経由の受注が2件ありました。
この時かかった費用は、「100アクセスで30000円」です。そして、20000円/個のプログラムが2件売れたとなると、40000円の売上になります。
この時残る粗利は「-10000円(30000円-40000円)」です。つまり、赤字になってしまいました。
「赤字になったから、このビジネスモデルはやめよう」と思うかもしれませんが、その判断に至るには早すぎるかもしれません。
例えば、このケースの場合、野球プログラムの販売価格を50000円にしてみるのはどうでしょうか?
販売価格が高くなると、必然的に成約率は低くなりますが、100アクセスで受注が1件取れれば、30000円の広告費に対して、売上が50000円立つため、20000円が利益として残ります。
ドライテスト時のアクセス別成功確率(統計学)
統計学の数値でいうと、ドライテスト時にアクセス数別で以下の通りの成功確率が出ると研究結果が出ています。
数値の正確率 | |
400アクセス | 約82% |
800アクセス | 約96% |
インターネット経由の成約率まとめ
インターネット経由で受注する成約率というのは、大体の数値は決まっています。
以下の成約率を参考に、ビジネスモデルとして成り立つかどうかを事前に想定することも大事になってきます。
検索キーワード広告がクリックされる確率(%) |
1-10% |
ホームページから申し込み・お問い合わせがある確率(%) | 0.2-5% |
お問い合わせがあってからの営業成約率(%) | 10-80% |
受注モデル別の成約率
1ステップビジネスとは、インターネットで直接注文できるビジネス
低単価(-2万円)1ステップビジネスの場合 | 0.5-5% |
高単価(2万円)1ステップビジネスの場合 | 0.02-3% |
2ステップビジネスとは、インターネット経由で一度電話やメールのお問い合わせやが必要で、その後に受注となるパターンのビジネス
低単価(-10万円)2ステップビジネスの場合 | 0.5-3% |
高単価(10-万円)2ステップビジネスの場合 | 0.2-2% |
2ステップモデルの行動チャート
新規顧客だけで利益がプラスになれば、もっと利益は伸ばせる
一度利益が残るビジネスモデルを作ってしまえば、その後販売ページをブラッシュアップして成約率を上げたり、オンライン講座を購入していただいたお客様から、さらにバックエンドとして「出張育成プログラム」などを30万円などの高単価で受けることができれば、広告費なしでさらに利益を伸ばすことができます。
商品やサービスが良ければ、ロイヤルカスタマーは増やすことができるため、広告費をかけることなく利益が増えていく好循環をうむことができるようになります。
(商品がないのに)受注した注文はどうするか?
ところで「商品がないのに、受注してしまった注文はどうするのですか?」と不安になるかもしれませんが大丈夫です。安心してください。
今回は「小学生向けの野球上達オンラインプログラム (DVD講座) 」のサービスを販売しているケースで考えてみました。
この場合、万が一まだサービスを作っていないのに受注が来てしまった場合は、以下のように一報を入れて注文をキャンセルしましょう。
「大変申し訳ございません。現在本サービスは好評につき在庫切れになっております。在庫が再入荷次第、すぐにご連絡させていただきますので、お客様のお名前とお電話番号を教えていただいてもよろしいでしょうか?」
こうすることで、ドライテストでかけた広告費を無駄にすることなく、実際に商品を作った後の初動の売上も確保することができるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「新規ビジネスを作るなら商品を作らず売れ」と言っている理由がわかったのではないでしょうか?
数ヶ月かけて商品を作った後に、実際に広告費をかけて売ってみたら思ったよりも市場が小さかったり、利益がプラスにならなかったというのは往々にしてあることです。
しかし、それでは商品を作った数ヶ月間の時間や費用が無駄になってしまいます。
ですから、新規ビジネスに参入する場合は、必ず商品を作る前にドライテストで「販売」を行ってから、本格参入するかどうかを判断するようにしましょう。